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相続Q&A

相続登記に期限はありますか?

特に期限はありません。

しかし、相続税の申告は、死亡したことを知った日の翌日から10か月以内にしなければなりません。
その前提として、申告前に遺産分割協議が原則として、完了している必要があります。
また土地などの不動産の名義変更登記も申告前に完了することが好ましいです(戸籍謄本等の取得が1回で済むため。すなわち、税の申告手続では戸籍謄本等は返却されないのに対し、不動産名義変更登記手続では返却されるため。)。

さらに、前述したように、登記を放置する期間が長くなれば長くなるほど、相続人の数が増え、戸籍等の書類も廃棄されるので、登記は複雑になってしまいます。

また、登記手続が複雑なほど司法書士の費用も高くなってしまいます。
さらに、遺産分割協議が成立して不動産を取得した場合、所有権移転登記をしなければ第三者に対抗することができません(所有権を主張することができないということ)。


以上のことから、登記に期限はないとはいえ、早めにしたほうがよいでしょう。

相続登記はいつか必ずしなければならないので、複雑になる前に、早めにすべきです。 

誰が相続人になるのか教えてください。養子もなれますか。

相続人になれるのは以下の方々です。
養子も子に該当し、なれます。

①子(民法887条1項)
(養子も含みます。)

②直系尊属(民法889条1項1号)
(直系尊属とは父母、祖父母などのことです。父母がどちらも亡くなったときに祖父母が相続人となります。父母のどちらか一方が亡くなって、父母のどちらかが生存しているときは祖父母は相続人にはなりません。)
 

③兄弟姉妹(民法889条1項2号)
(相続人となる兄弟姉妹が既に亡くなっているときはその子が相続人となります。 その子も既に亡くなっているときは、その子の子は相続人にはなりません。)

※配偶者(夫婦)は常に①~③の相続人となります(民法890条)。
別れた妻(夫)すなわち離婚した夫婦は相続人にはなりません。離婚により親族関係は消滅するからです。 

相続人の順位について教えてください。子供がいない場合どうなりますか。

上記①~③の順番で相続人となります(民法887、889条)。
子供がいない場合は父母又は祖父母が、父母祖父母がいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹や甥姪もいないときには、相続人不存在として、遺産は相続財産法人となり、家庭裁判所から相続財産管理人が選任され、様々な手続きを経て最終的に国庫に帰属します。

子が既に死亡していて、孫がいる場合どうなりますか。

代襲相続の問題となります。

代襲相続とは、亡くなった人(被相続人)の死亡以前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡などにより相続権を失ったとき、その者の子などの直系卑属がその者に代わってその者の受けるはずであった相続分を相続することをいいます。 

(具体例)父A、子B・C、Bの子Dがいたとします。

Aが10月15日に死亡したが、既にBが10月5日に死亡していたとき
Aの相続人はCのみとなりそうですが、代襲により孫DもAの相続人となります。

相続人が兄弟姉妹の場合で、既に兄弟姉妹が死亡しているとき、どうなりますか。

相続人が兄弟姉妹の場合も、兄弟姉妹の子までは代襲により相続人となれます。
但し、兄弟姉妹の子も既に死亡している場合、兄弟姉妹の孫には代襲が認められず、相続人にはなれません。

(具体例)被相続人A、兄B、弟C、Bの子Dがいたとします。


Aが10月15日に死亡したが、既にBが10月5日に死亡していたとき
Aの相続人はC及び代襲によりDとなります。

この場合で、Dに子Eがいて、既にDが10月8日に死亡していたとき
Eには代襲は認められず、EはAの相続人にはなりません。

相続人が複数いるときの、配分はどうなりますか。

法定相続分は以下のとおりです(民法900条)。

(1)子と配偶者が相続人のとき・・・子2分の1 配偶者2分の1

(具体例)子A、B 配偶者Cが相続人のとき
・A4分の1、B4分の1、C2分の1

(2)直系尊属と配偶者が相続人のとき・・・直系尊属3分の1 配偶者3分の2

(具体例)父A、母B 配偶者Cが相続人のとき
・A6分の1、B6分の1、C3分の2

(3)兄弟姉妹と配偶者が相続人のとき・・・兄弟姉妹4分の1 配偶者4分の3

(具体例1)兄A、弟B 配偶者Cが相続人のとき
・A8分の1、B8分の1、C4分の3
(具体例2) 上記の例でAが既に亡くなっていて、その子E、Fがいるとき
・E16分の1、F16分の1、B8分の1、C4分の3

※相続人全員の遺産分割協議によって、上記の法定相続分とは異なる割合とすることは可能です。
遺産分割協議とは、全員で財産をどのように分けるのかを話し合うことです。 

相続登記を急いでいます。どれくらいで完了しますか。

通常は、以下のとおりです。

 1.既に戸籍謄本など書類が全て揃っている場合
10日から14日

2.ある程度、書類がそろっているが、まだ全て揃っていない場合
約1か月から2か月

3.全く書類が揃っていない場合
約1か月から6か月

※上記よりも早く完了することができるかもしれません。
お急ぎの場合は、ご要望に応えられるように、最速で処理します。
お気軽にご相談ください。 

死亡時に住宅ローンが残っていた場合、支払い続けなければならないのでしょうか。

住宅ローンを組んでいた方が亡くなった場合については、こちらをご覧ください。

自分が亡くなる前に、不動産を贈与したいのですが。

詳しくは、こちらをご覧ください。

相続登記のための戸籍等の書類の集め方を教えてください。

以下の手順で戸籍等の書類を集めてください。

1.
亡くなった方の最後の本籍地の市区町村の役所で、取れるだけの戸籍謄本等を請求します。

具体的には、「相続登記で必要なので、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本等が欲しい」と役所の窓口でお伝えすれば、その役所で取れるだけの戸籍謄本等は取れます。
※生前、同じ市区町村を越えて転籍していないときは、その役所だけで全ての戸籍謄本等が揃います。

2.
生前、他の市区町村から最後の市区町村へ転籍しているときは、転籍前の役所に上記と同じように戸籍謄本等を請求します。


3.
更に、別の市区町村から転籍していた場合には、その役所に同様の請求をします。


4.
これを繰り返していくと、生まれたときの戸籍にたどり着きます。


5.
役所が近くにある時は、直接行って戸籍謄本等を取得することも可能ですが、遠方にあるときはそうはいきません。

この場合は、郵送で請求しましょう。
対象の役所に、申請書、返信用封筒、定額小為替、身分証明書(運転免許証など)のコピー、返信用郵便切手を郵送します。

①申請書は対象の役所のホームページからダウンロードし、記入します。
②返信用封筒には身分証明書の住所を記入します。
③定額小為替は郵便局で購入します。戸籍謄本等は、通数がどれ位になるかわからないので多めに入れたほうがよいでしょう。戸籍謄本等1通当たり、450円か750円です。

※通常、郵送物が役所に到着してその日か次の日には返送してくれます。急いでいるときは、速達で送り、返信用封筒にも「速達」と書いて、速達分の郵便切手を送るとよいでしょう。

なぜ生まれてからの戸籍が全て必要なのですか。

相続登記手続は、全員で行う必要があるので、相続人が誰であるかを確定する必要があるからです。

これを確定するには、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て集める必要があります。


生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めることによって、亡くなった方に子供がいるのかいないのかが判明します。
すなわち、子供がいない場合はいないことが判明し、子供がいる場合には全ての子供が判明します。


例えば、亡くなった方が再婚をして、再婚前にも子供がいた場合には遡って戸籍を集めることで再婚前の子供が誰であるのかが分かりますし、戸籍を遡ることで再婚しているかどうか自体も分かるのです。

(相続人が兄弟姉妹であるときについて)
亡くなった方に子供がいないとき、兄弟姉妹が相続人になることが多いです。この場合、更に父母の生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て集める必要があります。

父母の戸籍を全て集めることで、全ての兄弟姉妹が判明するからです。
つまり、父母が再婚していたときは、再婚前の兄弟姉妹(腹違いの兄弟姉妹など)が判明し、再婚していないときは他に兄弟姉妹がいないことが判明するのです。


さらに、兄弟姉妹で既に亡くなっている方がいるときは、その方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て集める必要があります。
兄弟姉妹が亡くなっているときは、代襲相続や数次相続で亡くなった兄弟姉妹の子供などが相続人になるからです。


亡くなった兄弟姉妹の生まれてからの戸籍を全て集めることで、その兄弟姉妹に子供がいないときはいないことが判明し、いるときは全ての子供が判明します。

相続税の申告はどのような場合に必要ですか。

遺産の評価額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要です。
遺産の評価額が基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です。
この場合は相続税はかかりません。

基礎控除額は

3000万円 +(法定相続人の数×600万円)
(2015年1月1日以降に亡くなった場合)
です。

2014年12月31日までに亡くなった場合は、
5000万円 +(法定相続人の数×1000万円)



例えば、夫が2017年1月20日に亡くなり、相続人が妻と子2人の合計3人の場合
3000万円 +(3人×600万円)=4800万円
遺産の価格が4800万円以下であれば、相続税の申告は不要で、相続税は0です。

相続税を計算する際の相続財産の評価方法について
銀行等の預貯金の場合は、普通預金については相続開始日現在の預金残高、定期預金については相続開始日の残高 + 既経過利息(相続開始日に解約した場合の税引後の利子相当額)で評価します。
不動産の場合は、土地については路線価等、家屋については固定資産税評価額(固定資産税評価証明書に記載された金額)となります。

なお、相続により不動産の所有権を取得した場合は、不動産取得税はかかりません。

詳しくは、税理士や税務署にお問い合わせください。

相続放棄をした場合、相続税の基礎控除額の計算はどうなりますか。

放棄をした人がいたとしても、放棄はなかったものとして相続税の基礎控除額を計算します。
すなわち、放棄した人の数は上記法定相続人の数に含めたままとなります。

上記の例で、妻が放棄をしたとしても放棄はなかったものとして計算しますので、相続税の基礎控除額は4800万円のままです。
財産の評価額が4800万円以下であれば相続税の申告は不要で、相続税はかかりません。 

詳しくは、税理士や税務署にお問い合わせください。

相続人の意見が分かれて遺産分割協議ができません。どうしたらいいですか。

どうしても意見が合わないときは、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをします。

遺産分割調停とは、裁判所に間に入ってもらって、誰がどの遺産を取得するのか、取得する遺産の割合・条件などを、話し合う手続のことです。

話し合いが成立すれば、調停調書が作成され、調書の内容に従って、遺産が分配されます。
話し合いが不成立の場合は、審判手続に移行し、相続人の主張・立証に基づいて裁判所が遺産分割の内容を決定します。 

亡き父の遺言で、兄が遺産のすべてを取得しました。弟である私は何も取得できないのですか。

遺留分制度により、遺産の一定の割合の取得が認められています。
本問の場合、相続人が兄と弟の2人であれば、下記②より弟には遺産の2分の1の持分が認められます。 

 遺留分制度とは、被相続人が相続人のために必ず遺産の一定割合を保障する制度です。
すなわち、もし遺言で、ある人に財産のすべてを与える、としても子や配偶者に遺産の一定の割合の取得(遺留分)が認められています。

ただし、遺留分を害する遺言などが当然に無効となるのではなく、遺留分権利者が自己の遺留分を請求できるに過ぎません。

・遺留分の帰属及び割合(民法1028条)

①直系尊属(父母、祖父母など)のみが相続人の場合、遺産の3分の1

②上記以外の場合、遺産の2分の1

(具体例1)父A、母Bが相続人のとき ①より
遺留分 A6分の1 B6分の1

(具体例2)妻A、子B・Cが相続人のとき

相続分 A2分の1 B4分の1 C4分の1 となるので②より
遺留分 A4分の1 B8分の1 C8分の1

※兄弟姉妹には遺留分は認められていません。そのため、兄弟姉妹のみが相続人となるときは遺留分を気にせず遺言を作成することができます。

以上のように相続人には遺留分が認められており、その権利が行使されることで、相続人間で紛争が発生する可能性があることを念頭に置いて遺言書を作成する必要があるでしょう。

なお、遺言者は遺留分減殺の方法の指定(民法1034条ただし書)をすることができます。
具体的には、「Xから遺留分減殺請求がされた場合の遺留分減殺の方法は、Yに遺贈する財産から減殺するものとする。」といったように記載します。
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