相続とは、ある人の死亡によってその人の財産などを特定の人に承継させることをいいます。
贈与とは、ある人(贈与者)が特定の人(受贈者)に対して無償で財産を与えることを目的とする契約です。
相続も贈与も財産が誰かに移転する点では似ていますが、大きな違いとしては、相続は死亡によって発生する点、贈与は当事者間の契約である点が挙げられます。
すなわち、相続は相続人の承諾なしに発生するのに対し、贈与は契約なので相手方の承諾がなければ効力はないのです。
(もっとも、相続についても、家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば相続しないで済みます。)
ほかには、相続は死亡した人の債務も含めた財産全てが当然に移転するのに対し、贈与では、贈与者がどの財産を与えるのかを決めて受贈者に移転させるという点でも違いがあります。
また、書面によらない贈与は、当事者が自由に撤回することもできます(民法550条)。
あげると言ったけどやっぱりやめた、ということも許されるのです。
ただし、書面に贈与をすると書いていた場合や、すでに贈与の物を相手に渡していた場合は撤回できません。
これに対し、相続は死亡によって当然に発生するので、撤回ということは問題にはなりません。